シンガポールで酒蔵を始める―最初にそう言ったとき、多くの人は口を揃えて「無理だ」と言いました。水が合わない。気候が向かない。米も、職人もいない。それに、世界有数の物価を誇る国で酒造りなど、採算が合うはずがないと。

でも、その「無理」は、ユミカとルーベンの出会いによって覆されました。

どんな環境でも、良い酒は造れる。
いや、それだけではない。日本酒の世界に、新たな息吹を吹き込むことすらできる―― そう二人は確信したのです。

これはただ「シンガポール産の酒」ではありません。

酒のニューワールドの幕開けです。

酒造りの再発明

オーキッドの酒は、日本らしさをまといながらも、これまでにない風味の組み合わせとニュアンスが特徴です。

伝統に敬意を払いつつ、時にあえてその枠を外す。

そんなスタイルで、私たちは酒造りに取り組んでいます。

「新しさ」を仕込む

世界中の素材を取り入れ、クラフトならではの表現で新しい味わいを追求しています。

黒もち米、可食花、南国の果実など、土地や文化が育んだ個性を、酒の中に生かしています。

国や地域によって、味の好みはまったく異なります。人それぞれ、幼い頃から慣れ親しんだ味覚があります。

私たちは、それぞれの「おいしい」を理解し、尊重したい。知ることから始めて、そこに寄り添う酒を造りたいのです。もしスパイスを加えることで笑顔が生まれるのなら、私たちはためらいません。

酒はすでに、無限の可能性を持つ発酵飲料。だからこそ、もっと自由に、もっとローカルに。

私たちの夢は、どの街でも愛される「その土地の酒」を届けることです。